戸狩を流れる清流
山の麓から脈々と流れる清らかな水。
川の中をのぞけば、イワナやニジマスといった魚たちが元気よく泳ぎ回っています。
水と戯れていると、子ども時代の記憶がよみがえります。
冬のイメージが強い戸狩ですが、夏にはキャンプやラフティング、トレッキング、サイクリングなど、さまざまなアウトドアアクティビティを楽しめます。その中でも子どもから大人まで誰でも楽しめるのが、川での沢遊びと魚のつかみ取りです。川の水は夏でもひんやりと冷たく、暑い日にはうってつけ。森の澄んだ空気を吸いながら水と戯れるのは、都会では味わえない戸狩ならでは体験といえます。体験のフィールドは戸狩自然公園。戸狩温泉スキー場を流れる日光川の流域に広がる公園で、ハイキングコースも整備されています。清く澄んだ川の水は心地良く、水深も浅いので魚取りにも最適です。素早く動く魚を素手でつかまえるのは思いのほか難しく、それが魚のつかみ取りの面白さでもあります。歓声を上げながら魚と戯れていると、いつの間にか童心に帰っています。
水面下に目を凝らしてみると、イワナやニジマス、カジカといった魚が泳いでいます。イワナは背中が緑褐色で体の側面に白い斑点が散らばる体長約20〜60cmの淡水魚。渓流の上流でしか見られない希少な魚で、その美しい姿とたくましさから「渓流の王者」とも呼ばれています。日中は岩の下や倒木の陰などに潜んでいることから、「岩魚」という名前が付けられたといわれています。ニジマスは40cm前後のサケ科の魚。小さい頭と全身に散らばる黒い斑点、体の側面の桃色の帯が特徴です。北米原産の外来種で、日本には1800年代後半以降に移入されました。食用に養殖していたものが河川に放流され、各地で生息するようになりました。食用の魚として人気で、しばしば塩焼きやムニエル、フライなどに調理して食べられています。
戸狩では魚のつかみ取り体験を提供している施設がいくつかあり、取った魚をその場で調理して食べることもできます。取ったばかりの新鮮な川魚をその場で炭火焼きにして堪能できるぜいたくな体験です。塩だけでシンプルに味付けした川魚にかじりつくと、ホクホクとした身が口の中でとろけます。
魚のつかみ取りは単に魚を捕まえるだけでなく、自然と触れ合いながら魚の生態や環境について学べる貴重な体験でもあります。生きた魚を川で捕まえて焼いて食べることは「命をいただく体験」。生きた魚をつかまえ、はらわたを取り、串に刺して焼いて食べる。捕獲から調理までの一連の流れを体験することで、生き物の命を食べること、生きることについて考えるきっかけにもなります。
魚のつかみ取り体験は、7月と8月の夏季限定。川の水深は浅いので水着などは必要ありませんが、タオルや着替えなどを持参しましょう。夏に戸狩を訪れたら、ぜひ魚のつかみ取りに挑戦してみてください。戸狩の大自然の中で魚たちと触れ合えば、きっとすてきな夏の思い出になります。