一度で二度楽しめる、そば打ち体験
長野県を代表する郷土食といえば「信州そば」。
冷涼な気候で栽培され、古くから食されてきたそばは地域に根付いた食文化です。
戸狩では、作って楽しい、食べておいしい、そば打ちを体験できます。
「日本そば」はそばの実を使ったそば粉を加工した麺類で、日本を代表する料理の一つです。そばの歴史は長く、文献によれば日本への伝来は奈良時代以前といわれています。細く切られた現在のそば「そば切り」が確立されたのは江戸時代とされ、その発祥は諸説あります。長野県のそばは一般的に「信州そば」と呼ばれます。その定義はさまざまですが、長野県で製造されたそば粉を40%以上配合した、長野県で作られるそばを信州そばといいます。山国である信州では、古くから田畑にできない山間の傾斜地を切り開いてそばを栽培。その冷涼な気候が栽培に適していることから良質なそばが取れ、北から南まで県内各地で食されてきました。
ひとえに信州そばといっても地域ごとにさまざまな特色があり、その作り方や食べ方は多種多様です。つなぎを使わない「十割そば」もあれば、小麦粉や自然薯などのつなぎを使うそばもあります。汁もさまざまで、通常のそば汁以外にみそ、大根汁、くるみだれ。薬味もわさび、七味唐辛子、辛味だいこんなどがあります。いろいろな具材と一緒に鍋に入れて温める「とうじそば」、木曽地域に伝わる無塩の漬物を入れた「すんきそば」など、食べ方にも地域の特色が表れています。
長野県内各地で栽培され食されているそばですが、戸狩のそばの味わいは格別です。そのおいしさの秘密は水にあります。そば打ちはとても奥が深いものですが、その基本は水とそば粉です。戸狩温泉地域の水は、川からの水道水ではなく山の湧水を水源としています。ブナの原生林から湧き出る澄んだ水は軟らかく臭みがありません。戸狩のそば打ちは全ての工程でこの湧水を使います。たっぷりのお湯でゆで上がったそばを冷えた湧き水でぎゅっと締めれば、つややかで喉越しの良いそばができ上がります。おいしいそばの条件には、ひきたて・打ちたて・ゆでたての「三たて」があると言われていますが、戸狩のそば打ち体験では、この三たてが揃ったそばを味わうことができます。
「そば打ちは難しい」とよく言われますが、初心者でもそば打ち名人の手ほどきを受ければ、おいしいそばを打つことができます。戸狩の宿では、信州ならではのそば打ち体験が楽しめます。そば打ちの基本は、①水回し、②練り、③延し、④切りの4つの手順から成ります。まず初めに水を粉になじませる「水回り」。そば粉をこね鉢に入れ、水を加えながら指でよくかき混ぜていきます。次の「練り」は、そばの粘りを出す工程。かたまり同士を一つのかたまりにまとめるようによく練り、つなぎの粘りを引き出します。続く「延ばし」は、麺生地を麺棒を使って平らに延ばす工程。いかに均等な厚さで四角に仕上げられるかが、切りの美しさを左右します。そして「切り」の工程。切り幅を均一にすることでゆで具合が一定となり、そばの喉越しが良くなります。そば打ち体験は宿のそば打ち名人に教わりながら、これら一連の工程を体験し、出来上がったそばをいただく約3時間の内容。自分で打ったそばをその場で食す、他では味わえないぜいたくな体験です。
そば打ちは地域の歴史と食文化に根付いた信州ならではの体験です。作るだけでなくその場で味わえることから一度で二度楽しめ、最近では若い人や女性にも人気です。自分で打つとっておきのそばを戸狩で味わってみませんか。